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私達は今日も仕事帰りに、一緒に食事しようと駅まで歩いていた。
そうやって毎日のように莉那と一緒にいたら、姉妹のように仲がいいね、と同僚に言われたことがある。
そう言われた時彼女は嬉しそうに笑っていたけれど、私も彼女に合わせて笑いながらも、胸中は複雑だった。
──あとどのくらい、貴女とこうして並んで歩いていられるのだろう。
「ね、宏実さん。今日は何食べたいですか?」
──私に向けるその笑顔を、あとどのくらい見ていられるのだろう。
「うーん。今日の気分は・・・・焼き鳥かなぁ」
「えー、またですか?本当に好きですよね。
じゃあ今日も円に行きますか!」
──私を見つめるその瞳を、これから先も貴女の隣りで、見つめ返すことが出来るのだろうか。
先の見えない不安の中で、私は今でも届くことのない想いを貴女に抱き続けている。
たった数センチの距離なのに、触れることさえ出来ない、貴女に。
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