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とても缶コーヒーを飲みながら夜景を楽しむといった気分になれずに、山を反対方向に下り、遠回りをして帰宅して、そっとポケットから缶コーヒーを取り出すと、自分の指先同様に冷たくなっていた。
その話をアルバイト先で話すと、後輩の女性がこんな事を言い出した。
「私は、去年の冬に大学までバスで通っていると、外は雪が舞っていてとても寒かったのを覚えています。」
「そして、一限目の講義に出席しようとして、バスに乗っていてY橋を渡っていると、途中にバス停があるんですが、そこに黒い帽子を被った男性が立っていたんですよ。」
「なんて寒そうなんだろうと思っていたら、なぜかバスがそのバス停で止まらなかったんですよね。」
「そして、隣に座っていた友達に聞いたんですが」
「なんであの人を置いていったの?って」
「え?バス停に人なんていなかったよ?」
「そう、友達が言ってきたんですよ」
私は思わず「えぇ…」と声を漏らしてしまった。
それ以来、まったくその橋は意図的に通らないようにしているが、今でもその出来事は鮮明に思い出せる。
深くえぐれた谷に尽きない噂話、なぜその橋が心霊スポットになっているのか?それは、県内でも有数の自殺の場所なのだ。
今では自殺防止のフェンスも設置されているが、それでも話は絶えない。
橋から下を見下ろすと、見えない力に吸い込まれそうになる。
そんな体験談もお聞きしたときがあり、いくつもの奇怪な出来事が起こっている。
その谷は万が一に、山にあるお城が落とされた場合の逃げ道として用意されていたそうだが、古来より魂の通り道としても谷はしばし描かれている。
まだまだ、これれからも『Y橋』のお話しは後世にも続くでしょう。
もし、通る機会がございましたら、気を付けてください、信じる信じないではなく、本当のお話しなのですから。
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