4.思っていたより

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ある休日。 郁は部活帰りに 絵美と2人で 寄り道していた。 『郁ちゃん、マネージャー慣れた?』 『うん!誘ってくれてありがとう。 陸上部の人、みんな仲良くて楽しいね。』 『良かったぁ。 結構強引に誘ったから心配してたんだー。 お試しで来たって言ってんのに 初日からあんなに歓迎されたら 辞めたくても辞めるって言えないだろうし(笑)。』 『キャプテンが 夏休みに合宿もあるって教えてくれたよ。 それまでにゆっくりお仕事覚えてねって。』 『夏の合宿、たのしみー! 高校生って感じだよね。』 2人で楽しく話しながらブラブラしている時 郁は 偶然 ハルトを見掛けた。 『? 郁ちゃん どうしたの? あ!向井だ。』 『うん。ご機嫌悪そうなお顔だね。 カノジョさんとケンカしてるのかな。』 『いやー。 向井って いっっっつも あんな顔じゃない? 愛想無いの。』 『え。そう?』 『うん。ついでに言うと、 多分アレはカノジョじゃなくて……。』 『カノジョじゃなくて?』 『……郁ちゃん、向井の噂とか聞かない?』 『先輩とお付き合いしてたみたいってことと 女のコ泣かせたりって 絵美ちゃんが言ってた。』 『私か(笑)。 そうなの。 私の友達がね 中学の時、向井にずっと片想いしてて 修学旅行の時に 「一緒に写真撮ってください」ってお願いしたの。 向井、どうしたと思う? 無視だよ?無視! アイツ、女子にめっちゃ冷たいの。 無愛想でニコリともしないのに あんなに モテるのが 信じらんない。 しかも 歳上と遊びまくってるって噂だし。 たぶん 今 一緒にいるのも カノジョじゃなくて 遊び相手だよ。』 『絵美ちゃんは 向井くん、苦手?』 『苦手っていうか あんまり好きじゃない。 っていうか……郁ちゃん、遊び相手って意味わかってる? ヤルだけの相手ってことだよ。』 『絵美ちゃん! わかったからボリュームさげて(笑)。』
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