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「いつもの仲間は?」
ブリ高のS王子がまぢかで何か話している。
ドS王子が乗る鈍行電車が来る前に、わたしが乗る急行列車が来た。よかった。これで気づかなかったふりを続けて、乗ることができる。無視したことにならない。
そう思ったのに。
彼が急行列車に乗り込んで来た!
わたしが降りると着いて降りた。
わたしが歩く道は商店街ではない。閑静な住宅街だ。だから、しゃべっている声がけっこう響く。家の中に居る人に聞こえる。
それを知ってか知らずか。
「姉ちゃんが、あんなに素直そうな良い子、ホントはさっちゃんの彼女じゃないんでしょって嫌味言ってさ。俺、今までの彼女とハナのことを考えて」
違いに気づいた。
彼がそう言った。
それまでも交際を断る手段として、彼女の友だちを巻き込んでいた。女子たちは友人よりも彼を取った。
「女の友情なんてないと思ってた」
わたしの後ろを追いかけながら詫びた。
ハナの友情を軽んじてごめんなさいと。
「怒ってるよな。試すようなことした俺を。だから俺。おまえに俺の根性を叩き直してもらいたい。頼む。しばらく俺と付き合ってください。できれば、彼女として」
わたしの背中に彼が願う。
わたしが望んでいたことを。
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