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しかし、仕事は優秀で、その自らの心や体を顧みない行動により、どれほど危険なところでも、暴力を振るわれようとも眉一つ動かさずに対象を保護してくる。更に、保護してきた相手を抱いて抱かれて心にもない言葉を弄して絆し、優秀な団員に変えていく。
種破滅的な行為は人としては褒められたものではないが、団体としては助かるものであった。そもそも、隷獣を飼っていると結婚に差し障りが出るとテオドロスに思い込ませ、主人の元を離れさせたのは皆人であるため、皆人がどうこう言う権利は全くないのだが。
「それもこれも、全てこの団体が自由を手に入れるまでの辛抱ですから」
彼は虫唾が走る、と言わんばかりの嫌悪感を顕にした顔をした。
「白々しい」
そう吐き捨てると、彼は皆人に背を向けた。皆人もその背中に、全くその通りだと言いたい気持ちを胸に見送った。しかし、愛護団体の虚しい作業もそろそろ終わりを迎えようとしている。皆人は、今日の作業をすべく作業室へと向かった。
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