かざぐるまを手にして

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(あぁ、彼氏は顔だけで選ぶもんじゃない・・・) 喜々としてハンドルを握る彼氏の横顔を見ながら、ユカはため息をついた。 私たちは今、とある心霊スポットへ向かっている途中だ。 彼氏に行ってみたいとせがまれ、心の中では無理無理!と叫んだけど、イケメンの彼の機嫌を損ねたくなくて、嫌々同行することになったのだ。 その心霊スポットは、とある田舎にある空家。昭和の中頃、当時その家に住んでいた父子家庭で、実父から性的暴力を日常的に受けていた娘が斧で父親の頭をかち割り、その後自身も自殺。 娘の身体には出産の痕跡があったものの、子供の存在がない為、どこかに遺棄したのでは・・・と、推測されたが結局何も分からずじまいになった。 しかし、事件後、その家から赤ちゃんの泣き声が聞こえてくると、噂になり、やがて、 その家の敷地のどこかに葬られている赤子が誰かに見つけてほしくて、あるサインを送ってくる・・・という怪談話が広まったのだ。
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