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「あなたは・・・誰ですか・・・?」
真っ白な病院で、真っ白な服を着て、真っ白なベッドの上でそう質問したのは、僕の大切な人で、僕の顔をまるで不審者を見るような目で見つめる少女に、僕は思わず泣きそうになったが、医者から彼女の症状について説明はあったし、彼女が目を覚ましたことがなによりも嬉しくて、涙なんか流す必要はなかった。
僕は怯える彼女に近づき、彼女の横に座った。
「こんにちは。君は今、ちょっとした事故で記憶を無くしてしまったんだ・・・だから何も覚えてないかもしれないけど・・・僕達は恋人同士だったんだよ・・・?」
僕は彼女に彼女自身のことを、そして、彼女自身に起こったことを簡単に説明した
彼女は僕の説明をきょとんとした顔で聴き、そして小さな声で呟いた
「こいびと・・・どうし・・・?」
その言葉の意味はわかるが、どうして・・・?という顔で僕を見つめる
その表情がとてもいとおしくて、僕は彼女の頭を軽く撫でる
「・・・って急にそんな事言われてもわかんないよね?・・・でも安心して?記憶が戻っても、戻らなくても・・・僕は君のそばに居るから・・・だから・・・いつかもう一度恋人になってくれたら嬉しいな?」
その時の僕がどんな表情をしてたのかはわからないが、彼女は顔を真っ赤にして目を反らした
「・・・もう少し・・・あなたのこと・・・知りたいです・・・あなただけ・・・私のこと知ってるの・・・なんか・・・凄く悔しいから・・・あなたのこともっと知ったら・・・その・・・恋人に・・・なり・・・ます・・・」
真っ赤な顔で、少し不機嫌そうにそう言った彼女は僕の恋人だった時の彼女のようで、やっぱり僕は泣きそうになり、それをなんとか堪えて、笑顔で頷きながら言った
「もちろん!僕のことも・・・そして僕達のこともいっぱい教えるよ!・・・・・・だから・・・また・・・僕のこと好きになってね・・・?」
真っ赤なままの顔で笑顔で頷く彼女の額に軽く口づけをして、彼女の病室を後にした
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