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そのまましばらく見つめ合った。
透き通るような金髪をツインテールでまとめた女の子だ。緑色の大きな目をパチクリさせている。その高貴なアンティークドールを思わせるガラスのような瞳に意識がすっと吸い込まれた。
小鳥の鳴き声が聞こえた。
「あっ…」
小さな声を漏らすと、女の子はまた木の陰にサッと隠れた。
今、俺に何をした?というか誰?もしかして、気を失う前に電話をかけてきた子なのか?声の印象と背格好は一致している気がする。
立ち上がって近づいてみると、その子は飛び上がるように俺から離れて口を開いた。
「あ、あ、あなたは…悪魔ですか?」
「何言ってるの?」
「だ、だって…真っ黒な髪に、真っ黒な目。悪魔の色です!」
いきなり指を差されて悪魔呼ばわりされた。髪と目の色をそんな風に言われたのは生まれて初めてだった。でも不思議と不快感はなかった。そんな見方をする奴が世の中にはいるんだなっていう新鮮さの方が勝っていた。
「だって俺、日本人だし…」
「ニホン…何を二本持っているんですか。…まさか!!」
女の子が俺の股間を見ながら後ずさった。
「いやいや、日本っていう国の名前」
「悪魔の国……ニホン…」
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