森の中の女の子

3/4
前へ
/49ページ
次へ
「だから悪魔じゃないって。世界一安全な国だよ日本は。俺はただの人間。それより君は…俺に電話かけてきた子だよね。名前は確か…ミーナ?」 「はい…そうです…」  やっぱりそうだった。俺にイタズラ電話してきた子だ。 「そっか。まー、聞きたい事はいろいろあるんだけど。ひとまず、ここが何処か教えてくれる?あと、君はどこの誰?」  おそらくこの子が俺に何かしたんだろう。それは後で確認するとして。まずは連絡先でも聞いて一旦家に帰ろう。  多分この子は海外からホームステイでもしている中学生だ。日本のカルチャーに惚れ込んで、どこぞのゲームキャラのコスプレでもしているんだろう。女の子が羽織(はお)っているコートがそう思わせた。無駄にたくさん付いたベルトや西洋風の凝った装飾、街中じゃまず見ない一品。茶色のブーツや黒いニーソックス、ちょっと短めのスカートなんかは普通っぽく見えるが。 「ここは…ホワホワっていいます…あのー、あなたが居た所とは…別の世界です。わたしは魔導士(まどうし)です。あっ、正確にはまだ見習いなんですけど…」  ばつが悪そうにミーナという女の子が答えた。どこまでも自分の設定に忠実な子だ。 「いや、そうじゃなくて。本当の場所を…」     
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加