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空を愛する事ができて良かったと思った。
◆
空に告白をされた瞬間、覚悟は決めていた。
だから母に見られたからといって動揺する事は無かった。
でも、空は違うのだ。
空から両親を取り上げてはいけない。それだけを肝に銘じて両親と向かいあった。
両親に事情を説明しようと口を開きかけた所で空がまくしたてる様に話した。
「ごめんなさい。僕が、僕が巽兄さんを好きになったからいけないんです。」
こいつは、空はこんな時まで自分の責任にしようとするのか。
その気持ちが愛おしくなって、そっと空の手を握った。
だけどな、違うんだよ空。
お前の所為じゃない事は俺も両親も知っている。
「父さんとの約束を破った事は謝る。
でも、空と付き合い始めた事について謝るつもりは一切ない。」
俺がそう言うと、父は苦虫をかみつぶした様な顔をしたし、母の表情からも困惑が見てとれた。
「約束?」
空が不思議そうに聞く。
「空が18になるまで、告白はしないって父さんと約束してたんだ。」
空を守るために必要だと思ったから今までその約束を破ろうと思った事は無かった。
「それが分かっているなら、何故こういう事になってるんだ。空はまだまだ子どもだ。」
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