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過去の事なんだ、今の僕には関係の無い人達の戯言だ。そう自分に言い聞かせようと思ったけど上手く行かない。
苦しい。嫌だ。
怖いよ。怖い。
僕が汚い子だからいけないのか?
僕が駄目な子だから……。
気持ち悪い。
胃の中がひっくり返った様に思う。
ここで吐いちゃ駄目だ。
喉に力を入れて逆流して来た液体を堰止める。
ぐぅ、とくぐもった声なのか音なのか良くわからない物が喉からなる。
涙は全く止まる気配を見せない。
「うわぁぁああ。」
嗚咽が漏れる。
早く泣きやまないと、そう思えば思うほど涙が止まらない。
巽兄さん、巽さん……。
助けて欲しいなんてそんな申し訳ない事言えない。
もう、充分良くしてもらっているんだ。
先ず涙を止めて、顔を冷やそう。
それから、レストランに洗い物をしに行こう。
自分が何をしなければ行けないのかは分かっているのだ。
だから、だから泣きやまなくちゃいけない。
「おい、どうしたんだ。」
この声は……。
僕が一番に縋りたい人が目の前に居た。
帰ってきた事にも気が付かなかったみたいだ。
「巽に…さん。」
見上げた先に居る愛しい人の名前を呼んでしまった。
彼は僕のものにはならない人なのだから呼んではいけないのに。
僕の顔がぐしゃぐしゃな事に気がついた巽兄さんはしゃがみ込むと僕を抱き込む様に腕をまわして、そっと背中を撫で始めた。
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