星の夜

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駄目だ。駄目だ、駄目だ、だめだ。 気持ちが、溢れてしまう。 折角、兄弟になってくれたのだ。 ――家族になってくれたのだ。 だから、だから困らせる様な事を言ってはいけない。 それは頭では分かっている。分かっているはずなのに、泣いてパニックを起こした直後の自分の感情が制御できず、せり上がってくる。 「巽兄さん、好き。」 溢れてしまった感情が言葉になってホロリと口からこぼれ落ちた。 巽兄さんは、驚いた様に目を見開いて、それからとても辛そうな表情を浮かべた。 けれども、その後すぐに穏やかな笑みを浮かべ口を開いた。 「俺も空の事家族として大切に思ってるよ。」 兄弟だろ?と言われ切ない気持が溢れる。 兄弟としか思ってもらえないのか、何で自分は兄弟という特別な存在に僕を置いてくれて。 でも、でも僕は巽さんの一番になりたかった。 巽さんの事が欲しかったのだ。 いやいやと、子どもがするように僕が首を振ると巽兄さんは俺の顔を見下ろして心配そうにしている。 「ち、違う。僕は、僕は巽さん事が恋愛感情で好きなんだ。」 終わってしまった。 全部終わってしまったんだ。     
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