星の夜

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男同士で今まで家族として優しくしてもらった。その巽兄さんの気持ちを踏みにじる様な事を言った。 きっと今までの様にもう一緒に居る事は出来ない。 「ごめんなさい。」と言う。気持ち悪い感じて、直ぐに離れると思っていた巽兄さんの体は相変わらず密着したままだ。 ショックで動く事も出来ないのだろうか。 次に巽兄さんが浮かべる表情は嫌悪か失望か、それとも怒りだろうか。 でも、その前に巽兄さんの感触を最後に味わっておこうと思った。 「空、お前は俺を選んでくれるのか?俺のものになってくれるのか?」 その声は酷く真剣なものだった。 「僕は、もう、とっくに巽兄さんのものだ。」 泣いたせいで乱れた呼吸の所為でとぎれとぎれだった。 僕の心も何もかも巽兄さんに囚われている。 あの煌めく星を僕にくれた日から僕は巽さんのものなのだ。 僕が、最後通告を待っていると強く強く抱きしめられた。 少し痛い位に巽兄さんの体が密着して頭がから湯気が出そうだ 。 「好きだ。空、ずっと愛している。」 耳元で言われた言葉が僕の脳天からつま先まで駆け巡る。 巽兄さんの言った事のいみが分かると全身の血液が沸騰したようになった。 僕に気を使ったんじゃないだろうか、至近距離で見上げた巽兄さんの顔は少しだけ赤くなっていて、瞳も潤んでいる。     
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