星の夜

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どのくらい抱きしめられていたのだろうか。 泣いてしまったのもあって、しっとりと汗をかいてしまい洋服が肌に張り付く感覚がする。 何だかぼーっとする感じがして、全く現実感は無い。 これが僕の妄想の産物であるとか夢であると言われても、ああやっぱりとなってしまいそうな感じだ。 だからなのか、離れがたくてまるで子供の様に巽兄さんにしがみ付いている。 呆れはしないだろうか、ウザいと思われないだろうか、こうやっている間にも冷静になって考えると僕とは付き合えないとなってるんじゃないか。 考え出せばきりが無いけれど、怖いものは怖いのだ。 僕は無意識に目の前の巽兄さんの背中に腕をまわした。 ピクリと巽兄さんの体が強張った気がした。 「空、俺の事好きになってくれてありがとう。」 吐息交じりで囁かれたその言葉にまじまじと巽兄さんの顔を見つめると、その表情は今までにない位優しいもので、僕の事を深く深く愛しているだという事が分かった。 慈愛に満ちたというのはきっとこういう表情の事なのだろう。 僕は今まで誰からもこんな表情を向けられた事は無い。 勿論、父さんと母さんには優しくしてもらったし、優しい表情を沢山向けてもらった。     
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