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星の世界
その日、俺は“運命”にあったのだ。
キザったらしいのかも知れないが、今でもその言葉以外に空と自分を繋ぐ良い言葉が出てこない。
中学2年の冬、部活が長引いてしまい夜8時を超えていたと思う。慌てて家に帰ると両親が経営しているレストランの前に、とても小さい影があった。
ガリガリという言葉がぴったりなやせ細った手足が、12月というこの時期に見合わない薄着から伸びていた。
言い方が悪いかも知れないが、まるで幽霊の様だと思った。
実際、この時の空は生きているなんて実感は無かっただろうしある意味幽霊と言うのは正しかったのかもしれない。
とにかく、時間的にも場違いな貧相な子どもが、うちの前にあるツリーをぼーっと眺めていたのだ。
すると、背伸びをして手を高く上の方にのばした。
ひょろりとした体形の所為かふらふらしている。
「おい、何をやってるんだ?」
俺が声をかけると、ビクリと震えるとそのままバランスを崩して転んでしまった。
そんなつもりは無かったので慌てて駆け寄った。
振り返った子どもは怯えた様にこちらを見上げる。
髪の毛もぼさぼさで長く伸びていて目に突き刺さりそうだった。
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