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「ならば、なおさら同じ屋根の下で暮らさせる訳にはいかないだろう。」
語気を強めながら父は言った。
「何でだよ!?あの状態の空をほっぽり出せっていうのかよ!?」
掴みかからん勢いで父にいい募る。
父は激昂したように立ち上がると俺に近付きそのまま胸座を掴むと頬を思いっきり殴られた。
殴られた勢いでふっとんだ俺はそのまま床に尻もちをついた。
見上げる父親の顔は怒りとそれから、やるせなさ、そんなものを綯い交ぜにした表情をしていた。
「お前に、人一人の人生を背負う覚悟があるのか。」
父に問いかけられる。
「今、たた好きだからという感情だけで引き取って、あのこがお前に同じだけの気持ちを返せなくても同じように慈しむ事ができるか?
例え、彼が別の人間と幸せになっても兄として祝福出来るのか?
もしも、生半可な気持ちであの子を引き取って捨てる様な事があればそれこそあの子は本当に独りぼっちになってしまうんだぞ。」
もし、空が俺以外の人間と結ばれる様な事があったとしてそれを祝福出来るのか。
想像しただけで内蔵のあたりがギリギリと痛む様だが、ただひたすら俺は空の幸せだけを願いたい気持ちの方が強かった。
「俺は、空に幸せになって欲しいよ。」
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