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ガリガリの傷だらけのその体はまだ本当に幼くそんな気持ちは全く起きなかった。
ふわふわの泡で全身をもこもこにして洗う。
空はオドオドとした様子だったけど適温に温められたお湯に入ると気持ちよさそうに息を吐いた。
そうやって少しずつ普通の生活に慣れていく空を見て、ただただ嬉しかった。
まあ、成長した空を想像してめちゃくちゃに頭の中で抱いていた俺が言ってはいけないのかも知れないが。
ただ時々、空は一人自室であの星を取り出してはジッと眺めている事があった。
その顔は切ないという感情がにじみ出ていてそのまま抱きしめて耳元で好きだと言ってしまいたい衝動にかられた。
儚く、それでいて意志のこもった瞳があの時の星に注がれているだけでどうにかなってしまいそうだった。
空が家族になって父の言っていた事が身にしみる。
恋愛感情は尊い物だけれど、幼い空にはきっとそれは重すぎる。
俺にもそして両親にも、こっちが申し訳無くなる位気を使いながら暮らしているのだ。
俺が好きだなんて言った日には必死にそれに答えようとしてしまうだろう。
俺の事が好きで無かったとしても。自分の人生を捨てて俺の事を好きになろうとしてしまうだろう。
でも、それじゃあ空はきっと幸せになれない。
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