星の夜

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レストランをやっているお父さんとお母さんが忙しいからとこの家に来てから暫くは巽兄さんが僕をお風呂に入れてくれていた。 それまでお風呂等まともに入った事が無かった僕を泡でもこもこにしてくれて、優しく優しく洗ってくれた。 毎日一緒に温かなご飯を食べてくれて、夜うなされた日にはずっとそばに居て「怖くないから大丈夫。」と言ってくれた。 実際のお兄さんより、ずっとずっと優しくて僕の事をそっと支えてくれて、まともに話す事も出来なかった僕に寄り添っていてくれた巽兄さん。 僕にとってはあのクリスマスツリーの上で輝いていた星と同じくらい輝いて見える人なんだ。 初めて出会ったその日から、僕を見つけて声をかけてくれたその日からずっとずっと大好きな人だ。 だけどそれは憧れや家族へ向ける愛情のはずで、きっと僕が今胸に抱えているこの感情は間違っているのだ。 巽兄さんにとっても迷惑にしかならない感情をどうやって振り払うか、どうやって忘れるのかそればかりを考えてしまう。 巽兄さんは就職活動で大学が忙しいらしく最近は遅い。 僕はお店の裏方を手伝ったり、家の家事をやったりして帰りを待っているけれど、会えない日も沢山あった。 彼女でも出来たのだろうか。 いつか巽兄さんが結婚相手として誰かを連れて来た時に僕は笑って祝福出来るのかな?     
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