星の夜

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僕が高校生になっても父さんも母さんも優しいままで、巽兄さんも相変わらず優しい。 巽兄さんは就職をしたけれど今まで通りこの家で暮らしている。 僕は高校に行くつもりは無かった。そこまで三好さんに迷惑をかけちゃいけないと思っていた。 だけどそんな僕の考えを見透かしたように父さんと母さんは僕が気にする事は何も無いのだ、高校位行っておくべきだと根気よく説得し続けてくれた。 結局僕は今高校に通わせてもらっている。 いつか父さん、母さん、それから巽兄さんに恩返しをしたいと思うが何も返せていない。学校から帰ってきた後、家の家事を少しして、それからレストランの手伝いをするようにはしているのだけど、きっとこんなのじゃ殆ど何の助けにもなって無い。 巽兄さんは「無理をするな。」と言ってくれているけれど、無理はしていないしこんな事じゃ駄目なんだ。 巽兄さんが優しい、だけど僕がそれに甘えてはいけない。 当然だけど、巽兄さんとは相変わらず兄弟だ。 就職して帰りが遅くなる事も多くなったけれど、成人した兄と高校生の弟という意味では珍しい位僕の事を気にしてくれている。     
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