星の夜

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遅くなる日が本当に仕事なのかなんて事僕に判断は出来ないけれど今まで家に彼女を連れてきたりという事は一度も無かった。 バレンタインにチョコレートをもらってくる事はあったし、巽兄さんは本当に魅力的な人だと思う。きっとモテるのだと思う。 構ってくれるのも、優しくしてくれるのも勿論嬉しい。 でも、嬉しいというのと同じ位、いつか巽兄さんが彼女を紹介する時に笑って祝福出来るだろうかと憂欝になった。 高校生にもなると自分の感情が、友愛なのか家族愛なのかそれとも別のもっとドロドロしたものかの違い位わかるようになった。 兄だと思えればよかった。 そうすれば、家族として充分な愛情を貰えてそれで満足出来たハズなのに。 他人の僕を家族にしてくれたというだけで、これ以上ない奇跡の様な話しなのに巽兄さんをそんな感情で見ている自分が酷く汚い生き物だと思った。 ―――ホント、あんたは汚い子だね。 不意に昔の事が、頭の中にフラッシュバックした。 そうだ、僕は汚い子だ。 巽兄さんにつり合うハズが無い、汚い汚らしい人間だ。 泣くつもり何か全くなかったのに、涙がボロボロとこぼれ落ちた。 蹲って、何とかやり過ごそうとするが、実の両親に言われた事が次々と浮かび上がって僕を責め立てる。     
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