太平記2018

2 バッタ

　綾辻明日香は宵闇のフジクラ団地にやって来た。
　西洋甲冑の謎が解けるかもしれない。
　土嚢が積まれてあった。
　戦争映画によく出てくるな？
　明日香は拳銃を抜いて撃ってみた。　　
　貫通することはなかった。
　軍用バイクが停まっている。
　乗ってみたが転倒しやすく戦闘には不向きであることが分かった。
　長谷川歯科病院ってところにやってくるとグールが現れた。食人鬼だ。
　最近、中学生が行方不明になったことがあったが、まさか？
　明日香は拳銃をホルスターから抜いてぶっ放しだが、全く効果がなく鉤爪に突き刺されて丸呑みされてしまった。　
　グールにはシミター（偃月刀）しか効果がなく、しかも二の太刀を浴びせると傷が塞がって蘇生してしまうってリスクがあった。
　翌朝、体育館で全校朝会があり明日香が亡くなったことを校長先生から聞かされた。
　僕は彼女の笑顔が忘れられなかった。
　絶対に敵を打つ！

　警察病院に新田警視はやって来た。
　太田の国民的ヒーロー、新田義貞の血を受け継いでいる。
　明日香の死体に語りかけた。
「イロイロと悪いことをしてたんじゃないのか？援交とかしてたんだろ？」
　新田はネクロマンサーだ。
　死者を冒涜することで、死者と会話することが出来る。
　明日香はボソリと言った。
「クズ野郎、祟るぞ？グールなら宝泉の方に行った」

　明日香はアキバ系だった。部屋にはケロロ軍曹やエヴァンゲリオンのフィギュアが置いてあった。
「腐女子か、死んで良かったんじゃないか？」
　新田はつぶやいた。
　見た目は完璧な美少女であったこともあり残念パーセンテージが大きい。
　何を隠そう、新田はロリコンだ！
　走れ！ロリコン刑事！

　僕は放課後の倉庫にやって来た。
　バッタが飛んでいる。
　もう12月も半ばだ、どんだけ生命力が強いんだ？バッタがしゃべった。
「宝泉に行ってみろ」