1 予兆

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 登校中に家の鍵を無くしてしまった。 「大丈夫ですか?」  2年の校章をしたポニーテールが声をかけてくれた。 「鍵を探してるんだ」 「一緒に探しましょうか?」  鍵は横断歩道のところに落ちていた。  車に踏まれたら最悪だった。 「ありがとう、名前は?」 「綾辻明日香っていいます」  明日香は吹奏楽部らしい。  僕は文芸部だ。  推理小説を執筆している。  その日の夜、浴室でミユキの着替えを事故で覗いてしまった。 「何だよ!?入ってるなら入ってるって言えよ?」 「お兄ちゃんが悪いんでしょう!?」  あー煙草くせー!殺したい!  おふくろと親父は太田駅近くの実家に住んでいる。自立をする為にアパート暮らしをしている。  メチャクチャ寒い!そろそろ『SUITS』がはじまる。織田裕二はやっぱカッコいいな?  エラリークイーンが不意に読みたくなった。  太田市はアチコチに図書館がある。  日曜に図書館めぐりでもしようかな?  ミユキはクールで表情や感情の起伏が小さいが、さすがに覗かれたことに腹が立ったらしく風呂から出て来てもプンプンしてる。  祖母は編み物をしている。  翌朝、学校に行くと校門の前に西洋甲冑が置かれてあった。 「実に非現実ですね?」  息を切らしてやって来た綾辻明日香が言った。 「何が起きるんだろう?」
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