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健坊って言うのは健一さんて名前で、じいちゃんより一回り上なんだが、じいちゃんが物心つく頃から焦点の合わない虚ろな瞳で外をうろうろしながら「うー、うーっ。」と声を出してる人だった。
病気だと思っていたのにそれがオイオイ様のせいだったとは、と当時はかなりの衝撃だったらしい。
しかも、その後でじいちゃんは健坊と顔を合わせる事があった。
彼はいつも通り「うー、うーっ。」言ってて、じいちゃんはその横を通りすぎようと歩いた。
ウロウロする以外は特に何かするわけじゃないから、警戒はしてなかったんだよね。
でも・・・。
「良かったな、振り返らなくて。」
そう聞こえて、驚いて健坊を見たものの、彼は変わらず「うー、うーっ。」と言いながらフラフラと歩いて行ってしまったそうだ。
その声ははたして健坊だったのか、未だにわからないんだとじいちゃんは言ってたよ。
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