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「森塚先輩、何者なんすか!」
目を輝かせて杉村が駆け寄る。
「何者でもねーよ。俺の親父が医者だから単に人よりそういう知識があるってだけだろ」
「でも治しちゃったじゃないですか! 凄いっすよ!」
「治ったわけじゃない。原因を取り除かないと、また同じ事が起きる」
脅しみたいな口ぶりに、唾を飲みこむ。
あんなに辛そうな千葉先輩を見るなんて、また同じ事が起きるなんて、そんなの耐えられない。
「念のため保健室行くぞ。杉村は小山呼んできてくれ、まだグラウンドの整備してるだろうから」
「あ、はい。 わかりました」
不思議そうな顔をしながらも、杉村は昇降口に向かって走りだした。なんで瑞穂先輩なんだろうか。
「魚住は……俺と一緒に来てくれ、」
でもそんな些細な疑問は一瞬で吹き飛ぶほど、
「聞きたい事がある」
森塚先輩は怒りに満ちた顔を私に向けた。
「わかりました」
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