深海魚

2/32
118人が本棚に入れています
本棚に追加
/219ページ
♯Rihito Kujirai キミがいつも泳いでいたこの空に、僕はずっと嫉妬していた。 まるで無限に広がる青が、儚く揺蕩う白が、僕とキミを隔てる境界線に思えた。 あの日。 僕の歯車を止めたのは、間違いなくキミだった。 それは赦しを乞うための猶予だったのか。 塵が塵へと還るための序章に過ぎなかったのか。 今となってはそれも、もうどうでもいい。 再び歪な音で廻り始めた世界から、僕はただ。 泡のように消えたいだけなんだ。
/219ページ

最初のコメントを投稿しよう!