水鏡

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───── 僕があの時、雅也くんに相談できていたら。 僕があの日、母さんに聖書を持っていかなければ。 未来は少しでも、変わっていたのだろうか。 例えばこの夜、いつもの道を通っていれば。 その背中に、声をかけなければ。 きっと僕たちは、こんなに沢山の嘘を、背負う必要は無かったのだろうか。 「何……してるんだよ」 僕はどこで選択を間違ったんだろうって、今でも思うんだ。どこで歯車は歪んでしまったんだろうって、今更だけど後悔してる。 僕たちはよく似てる。まるで、水鏡みたいに。 だけど泥水で沈むのは、僕一人で十分。
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