118人が本棚に入れています
本棚に追加
/219ページ
─────
僕があの時、雅也くんに相談できていたら。
僕があの日、母さんに聖書を持っていかなければ。
未来は少しでも、変わっていたのだろうか。
例えばこの夜、いつもの道を通っていれば。
その背中に、声をかけなければ。
きっと僕たちは、こんなに沢山の嘘を、背負う必要は無かったのだろうか。
「何……してるんだよ」
僕はどこで選択を間違ったんだろうって、今でも思うんだ。どこで歯車は歪んでしまったんだろうって、今更だけど後悔してる。
僕たちはよく似てる。まるで、水鏡みたいに。
だけど泥水で沈むのは、僕一人で十分。
最初のコメントを投稿しよう!