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俺はそのまま部屋を出てさっきまで空がいた廊下の、まだ空の温もりが感じられるソファーに座る。
「あんた…生きとったん?」
目には溢れるほどの涙を溜めている顔で、それでも安心したからかまた強がる空が顔を出す。
「何それ?第1声がそれなん?」
「良かったあ…ほんとに…生きてて…」
「飛行機の中でもずっとずっと心配でさ…泣きよったんよ」
と空は雄一郎のベッド脇に座り込むように真っ白な布団に顔を伏せた。
それでもまだ涙は自分がしてしまったことを少なからず後悔していた。
「獅童が父無し子にならんでよかったあ…」
「お前昭和の人間?空は?」
「あたし?」
「そう…」
「そんなの聞かんだっちゃわかるやん。良かったに決まっとおやん」
それから二人は1時間近く
「ごめんな」
「ごめんね」を繰り返していた。
そして空はそのまま泊まって看病するということで、俺は近くのホテルを紹介してもらいそこで泊まる。
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