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翌朝、病院に行くと空は雄一郎の横に顔を伏せたままの姿勢で眠っていた。近くにあった薄黄色の薄手の毛布を空の背中にかけ廊下のソファアで待つ。
それから午前中の診断が終わると空を部屋から出して、雄一郎とサシで話をする。
「雄一郎さあ、なんで空の願いきいてやらんかったと?」
と窓際から外を眺めながらさりげなく聞いた。
「やっぱりな」
とお見通しのような口ぶりの雄一郎。
「何が」
「クミまで来るの…何かあると思ってた。そういうことね」
と微笑んだ。
「俺も子供欲しかさ」
「やけどさ…まだまだ俺日本に帰れそうになかとさ。そしたらまた離れ離れやし…空が一人で大変やし…それに一番はさみしかし」
と本音を吐き出した。
たぶん雄一郎のことだから…そんなところだろうとは予想はしていた。それで俺はずっと飛行機の中で考えてたことを雄一郎に提案した。
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