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「彩花ねえちゃん、どうかしたと?病院行ったって」
芽呂は彩花に駆け寄って彩花の顔を見上げる。
「芽呂ちゃん!まだ時間には早いっちゃない?」
彩花が芽呂の頭をポンポンとした。
「ねえ大丈夫と?」
「大丈夫って!聞きたか?驚いちゃいかんよ!」
「うん!どうしたとね?」
「赤ちゃんができた。」
「………」
俺の時間も芽呂の時間も…みんなの時間が立ち止まった。
その立ち止まった時間を進めるように最初に口を開いたのは芽呂だった。
彼女は目を丸くし
「マジでーーーーっ!?ねえ!彩花姉ちゃん!おめでとう!」
何度も何度も飛び跳ねる。
俺は…この光景に目頭が熱くなり言葉が出てこなかった。それを見て「お兄ちゃんは嬉しくなかと?」と下から見上げながら首をかしげながら微笑む。
「んなわけなかやん!嬉しかさ!」
言葉と一緒に三人で…もう家族四人で…抱き合った。初めてだった。
家族三人で抱き合ったのは。
ーーーー本当に…本当に…ほんとに良かった。こういう日を迎えられたことに感謝した。
俺がずっと欲しかったものが俺の腕の中で花を咲かせた。
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