18. 最後の春

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4人が頂上に行くと その墓の中心でクミが 椅子に座ったまま 彩花のところへ旅立っていた。 拓海が座っている椅子の横には 小さなテーブルが置かれ、 その上に水が貯められたバケツ。 その中で左手首を切っていた。 その墓はアメリカのアーリントン墓地のような 西洋式の墓で、 綺麗に六角形の形にみんなの分、 名前が外側になるように彫られていた。 よく見ると彩花の名前の下には 生まれてくるはずだった次女の 『結花』の名前もあった。 AYAKA (YUIKA)OSAKO , TAKUMI OSAKO , SORA OOTAKA , YUUICHIRO OOTAKA , MANAMI UCHIMURA , SHOHEI UCHIMURA クミを囲んでまた歌い始めた時、 6枚の桜の花びらが春の風に舞い クミの顔の上に落ちた。
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