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少しずつ緊張もほぐれ
それに比例するように体温も上がっていく。
そして今度はわたしが思い出を話す。
「クミさあ覚えとう?」
「何を?」
「高1の入学式で初めて会ったとき。」
「ん…覚えてねえかも。ごめん。」
「いいよ別に。わたしが覚えてるから教えてあげる。」
「で?」
「入学式が終わって教室に移動してたとき、
愛美が翔平に一目惚れしてさあ
翔平追いかけるの付き合わされたとさ。
んでね、めっちゃ走ってたらクミにぶつかった。」
「ああーーー。あれか。」
「そのときクミめっちゃ怒ったんだよね。
でもわたしが何度も謝ったら
最後に笑ってくれたんだ。
その笑顔が好きになった。」
そんなことを話していると
クミがわたしの手を引き
自分の腰の辺りに持っていくと、
その反動で重なり合うように
木の床に倒れ込んだ。
話しているうちに男が目覚めたと
後になって話してくれた。
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