5. 冬の通り雨

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58091197-95e5-47d7-b48b-0ed76310069a 少しずつ緊張もほぐれ それに比例するように体温も上がっていく。 そして今度はわたしが思い出を話す。 「クミさあ覚えとう?」 「何を?」 「高1の入学式で初めて会ったとき。」 「ん…覚えてねえかも。ごめん。」 「いいよ別に。わたしが覚えてるから教えてあげる。」 「で?」 「入学式が終わって教室に移動してたとき、  愛美が翔平に一目惚れしてさあ  翔平追いかけるの付き合わされたとさ。  んでね、めっちゃ走ってたらクミにぶつかった。」 「ああーーー。あれか。」 「そのときクミめっちゃ怒ったんだよね。  でもわたしが何度も謝ったら  最後に笑ってくれたんだ。  その笑顔が好きになった。」 そんなことを話していると クミがわたしの手を引き 自分の腰の辺りに持っていくと、 その反動で重なり合うように 木の床に倒れ込んだ。 話しているうちに男が目覚めたと 後になって話してくれた。
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