5. 冬の通り雨

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caa65015-5842-4b71-a208-1b13d61ec40c 床に倒れこんだわたしたちは どちらからともなく唇を重ね、 そして身体を重ねあった。 耳のそばでクミの吐息に混じって 外の雨音そして 時折激しさを増す風音が聞こえた。 ーー彩花…好きか? ーーうん。一番好き。クミは? ーー世界で一番。 想いを伝える言葉とともに クミの手はわたしの身体の 色々なところを優しく包むように 通り過ぎていく。 敏感なところを優しく撫でながら。 わたしはクミの動きに合わせるように 吐息に混じった声にならない声をあげる。 際限なく続く快楽の向こうにあるものが わたしたちには… そのときのわたしたちには見えていなかった。 ーーはあ…はあ… ーー彩花…こっち… わたしの手をクミが自分の股間に導いた。 初めて触れたクミの男の部分は これ以上ない程の硬度まで高まっていた。 しかしわたしの手が触れると わたしの手に何か生温かい液体がかかる。 クミがため息を漏らし、わたしの胸に顔をうずめた。
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