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わたしたちはその幸せそうな家族を見て
その場を離れることができずに、
ずっとずっと見ていたかった。
「たぶん…あれ芽呂よね?」
「うん…。」
「あの子が笑った時の笑顔見た?」
「ああ…見た。」
「左端に八重歯が光ってた。
それにその笑顔、クミそっくりだったね。」
「そうかな。でも目や笑窪は
彩花そっくりじゃん。」
「そうかな。」
「そう。」
「良かった…」
「本当に…あんな幸せそうで。」
「ああ…。」
そしてクミの家に帰りわたしたちは
引っ越しの準備に追われた。
今日、お母さんから
「ここに引っ越しておいで。
もう家族なんやけん」
と言われお母さんと
同居することになったからだった。
寝ながら、そして抱き合いながら…
ずっと芽呂の話をした。
いつものようにクミの腕枕の中で
みんなに、
離婚と結婚と芽呂の報告を
グループラインに送る。
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