怒りました

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怒りました

「えじゃあエリナちゃんってまだ17歳なの?」 「こう見えても大人なんですよ!」 17歳で成人済みなのか。一体どんな基準で大人になるんだ。聞いた感じ16歳から酒もタバコも風俗も解禁されるらしい。日本だったらその歳でそこら辺の事をしたら確実に両腕が繋がる事になるぞ。 「ちなみにルークさんはまだ18歳なんです、あの歳で政府直属の、しかも大魔道士になれるなんて、本当に凄いですよね」 「あーうん、凄いね」 あいつ俺より10歳も歳下だったのかよ…なんとなく少しだけ俺より若いかなって思ったけど、そんなに離れてるとは思わなかった。あの老け顔男め。 「アキさんはお幾つなんですか?」 「俺?俺は…28歳」 「え!全然見えないです!私より少し歳上くらいかなって思ってました」 「よく言われるんだよね」 元の世界でも自分はよく若く見られがちなんだけど、それはここでもそうらしい。まだまだ俺の歳はおにいさんだからね、それ以外の言葉は認めないからな。 「ルークさんとは仲良くやってますか?」 「まぁ、うん、ぼちぼちかな」 仲良く出来る訳ないだろ。なんなら顔も合わせてないわ、一度置き去りにされてる時点で察してくれよ。 「最近は図書館内でもルークさんの話題で持ちきりなんです。たった一人で異世界から人間を召喚したって」 「そんなに難しい事なの?」 「えぇ、とっても。一人で召喚するなんて失敗する事が殆どですから、腕だけだったり、頭だけ召喚出来ていなかったり…」 うえ、聞くだけで吐きそうになる。五体満足な状態で召喚して貰えて本当に良かった。まぁ、召喚する相手思いっきり間違えてるんだけどさ。本人曰く失敗らしいし。 「今までの勇者さんとかは…?」 「失敗する訳には行かないので、複数人で儀式を行う事が殆どなんです。それでも完全に召喚できる場合って本当に少ないんですよ、大抵は元の世界の記憶がなくなっちゃって。後は召喚の時に言語の調律が合わなくて意思の疎通が困難だったり…」 俺はちゃんと元の世界の記憶もあるし文字も読めれば言葉も通じる。うわぁ、本当に良かった…。 「聞いてるだけでちょっと震える」 「完璧な状態で召喚できて本当に良かったです」 エリナちゃんの話を聞いて顔色が悪くなってしまった俺を心配そうに見つめている。あいつがもし召喚に失敗してたら…おえ…気持ち悪くなってくる。
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