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「いいか?俺はまだおにいさんだ。異論は認めないからな」
「めんどくさ、この酔っ払い」
「絡むのがめんどくさいなら早く寝ろこのクソガキ」
気分がムカムカしてきた。早くべろべろになってどうでもよくなりたい。そう思ってグラスの葡萄酒を一気に仰いだ。いくら飲みやすいと言ってもアルコールはしっかりと入ってるので喉がカッと熱くなって思考がボヤけてくる。
「おい、もうやめとけって」
「うるせぇ、飲ませろ」
ルークが何故か俺の腕を掴んで制止してきた。俺そこまで酔ってないし、まだ意識あるし。
「なんだよ、お前も飲みたいのか?」
「これ以上飲ませたら思いっきりイビキかいて泥酔ししそうだから止めてるだけに決まってるだろ」
「ムカつくなぁ、お前も飲め、コールしてやるよ。シャンパンじゃねーけど」
「コール?てか何、飲んでいいのかよ」
なんか葡萄酒を人と飲む時の意味とかなんちゃら店主が言ってたな…別にどっちも男なんだから意味も何もないだろ。
「ふーん」
葡萄酒のラベルをチェックしたルークは食器棚に自分のグラスを取りに行った。
「注げ」
「なんで命令口調なんだよ」
若干イライラしながらも俺は言われた通りに差し出されたグラスに葡萄酒を注いだ。
酒瓶を置いてもグラスを差し出したままなのでわけも分からずに自分のグラスを持ってカチンと当てた。
「成立だな。お前から誘ったんだから拒否権は無いぞ」
…何言ってんだこいつ?ルークがやけに熱い視線を向けてくる。なんか俺やらかした?獲物を見つけた獣みたいな視線を向けられて、ぞくりと背筋が凍るような感覚がした。
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