act.03

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「神様・・・。どうか、お救いください。私は犯してはならない罪を犯しました。私のたった一つの過ちで、ミルズ親子の幸せを永久に葬り去ってしまいました。ああ、神様。私は医者でありながら、立派な人殺しです。あの少女の輝ける未来を、私のこの手が奪い去りました・・・」  男の手が、マックスの汗で汚れた黄金色の髪に触れる。  マックスは、柔らかく髪を撫でられ、やがて安心したように寝息を立て始めた。  泣き疲れた顔をして、「くしゃん」と鼻を鳴らす。  次の瞬間、温かな感触がマックスを被い包んだ。  その後、男がマックスの頭を支えながら、そっと立ち上がったのが、頬に当たる空気の動きでぼんやりとわかった。 「ヘイ。コートは持って帰った方がいい。また吐かれたら大変だぞ」 「コートはどうなってもいいさ。ローレンス、よかったらこの坊やを目が覚めるまでここに置いてくれるか」 「ああ、それはいいが・・・」 「こんな天使のようなお面相の男を、この状態のまま物騒な道端に放り出す訳にはいかないだろう。ろくでもない奴らにレイプされたり、場合によっては殺されるとも限らん。 ── この坊やは、この町の道端にねっ転がるには少々汚れなさ過ぎる。この街の住人は、天使を見るやいなや、片っ端から焼き討ちにかけるような連中ばかりだからな」  男の言い草に、バーテンの笑う声が遠くにこだまする・・・。
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