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『OK』
電話が切れる。ウォレスは部屋を出た。
約30分後、ウォレスは企画管理部の会議室の前にいた。
会議室はバーンズの個室の隣にあり、ウォレスはバーンズの秘書が座るデスクの電話を取って、プッシュフォンのボタンを押した。
片方のポケットに手を入れ、「ウォレスだ」と言う彼を、バーンズの秘書は熱い瞳で見つめた ── 彼女だけでない、このフロアにいる人間のほぼ全員が、ウォレスの動向に注目している。
「できたか?」というウォレスの問いに、相手は『まだだ。あと10分くれ』と答えてきた。
ウォレスは、「あと5分だ」と言って電話を切り、会議室のドアを叩く。
ウォレスは室内からの返事を待たずに、ドアを開けた。
一斉にウォレスに視線が集まる。
今にも死にそうな顔をしたマーサーと、多少顔色が悪いものの毅然とした顔つきのバーンズがいた。
その向かいには、昨年世代交代したストラス社の若き社長デビッド・マイルスと厳つい顔をした、まるでボディーガードのような男が座っていた。
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