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act.02
街の中心には大きな噴水がある。
その噴水を中心として、緑の森が広がっていた。
ニューヨークのセントラルパークほどの規模はなかったが、市民の愛する公園である。
その周辺は、車椅子が5台並んで通ってもまだ余裕があるほどのゆったりとした道幅の歩道が取り囲んでおり、そこにもまた街路樹が生い茂っていた。
歩道には上品な造りのベンチが程良い数並べられ、大抵の日はあちらこちらでホットドッグや安いペーパーブックを並べた露天商が店開きをしている。
客観的に見てもC市の中心部は、美しい景観を持つ街であった。
これはひとえに、ミラーズ社の影響だ。
現在のスポーツ業界市場の発展 ── それは主に一般市民に関する市場においてであるが ── に、ミラーズ社の残してきた功績は大きい。
自然と健康と最新科学の共存を理想に掲げ、日夜躍進を遂げるミラーズ社は、C市をその理想モデル都市にしたてようと、様々な施設建設に投資を行っている。街中に緑が多く配置されているのも、その投資や寄付の力によるところは大きい。
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