3.アフガンの依頼

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 太陽が地平線のかなたへと消える前だった。  アフガンを先頭に、バァさんと見なれぬ女の子がやってきた。  アフガンのいうおじょうちゃんだろう。  まだ小学生だということだが、もう少しでバァさんを追い越しそうなくらい背が高い。  髪は頭のてっぺんにに引っ張り上げてくるくるとまとめ、白とショッキングピンクのタンクトップを重ね着し、短いデニムのスカートをはいている。  どこかでバカンスを楽しんできたのか、肌がこんがりと焼けていて、細身ながら、健康的でおてんばそうな女の子だった。  犬一頭と人間ふたりは木陰のベンチに腰をかけた。  おじょうちゃんが持ってきたおかしの袋を開けると、ハトが集まり始めた。  おじょうちゃんが地面にまいたのは白くて小さな丸いものだった。  ポップコーンか。あれはおいしいんだよなぁ。  オレは遠巻きながらハトにまぎれこんだ。  だが、「あっ! 白オウム!」と、おじょうちゃんにあっけなく見つかった。  ハトよりも頭ひとつ分でかいんだからしょうがない。  見事にえづけされているオレ。  いっしゅんたじろいでいるオレの横を、一羽のぼっさぼさのハトが通りすがっていった。  「夏は暑いが子供が多い。おかげで少々太ってしまったよ」と、ひとりごとのようにつぶやきながらポップコーンをほおばっている。  人生、何事にも割り切りが大切だ。  たかっているハトも、異分子のオレにはもうなれっこだった。  オレはいつも通りにポップコーンをつまんだ。  バァさんが涼しげに笑っている。  いいことをした気になったが、本当にバァさんを喜ばせたいと思っているのはおじょうちゃんだけだ。  この暑いのにバァさんの散歩につきあってるのだからえらいよ。
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