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「でさ、バァさんがキミのことをおじょうちゃんに話してたよ」と、いつのまにやらおじょうちゃんの話になっている。
「電話って知ってるか? 知ってるよな。身代金の要求といったら電話だもんな。ひとり暮らしのバァさんはよくこれで話しをしているんだ。白い大きなオウムがハトのフリして、あたしのあげるパンくずをむさぼり食ってるっていってたな」
「ハトのフリなんかしてないよ。それにオレは行儀よく食ってるつもりだけどね」
「これまた心外なことかもしれないが、バァさんはキミのことを飼いならしているつもりらしいぜ。おじょうちゃんが遊びに来た時、キミがいないとガッカリするんじゃないかと思っているみたいだな」
「ふうん。だとするなら、あたしのオウムだって公言してくれないもんかね?」
まんざら冗談でもなかったのだが、アフガンは「つまんない」とでも言いたげに鼻をフンとならした。
「ものめずらしいだけで、鳥なんか飼う気はないさ」と、アフガンはオレが落ち込むようなことをさらりという。
「公園にウワサのオウムがいるってことだけで充分なんだ。実のところ、おじょうちゃんがガッカリするというよりは、バァさんが孫に何もしてやれなくてカッカリするっていうかんじだな。おじょうちゃんは来年、中学生だっていうし、バァさんの散歩につきあってるより友達と遊んだ方がおもしろいにきまってるんだ。だけど、両親からもバァさんはひとりでさみしがってるから、かまってやれって言われてるんだろうな」
「だったら、いっしょに住んでやればいいのに」
オレが言うとアフガンはあいそ笑いのように尾を一回ふった。
「おい、オウム」
「なんだよアフガン」
「キミは結構いいやつだな」
「あんたもな」
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