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きっとバァさんはひとり暮らしで、さみしさをまぎらすためにアフガンを飼っているのだろう。
アフガンも実は最初の飼い主に見すてられたんじゃないかとかんぐった。
バァさんが飼うには大きいし、あつかいも大変だ。
もっと従順で利口で手ごろな大きさの犬はペットショップにもいっぱいいた。
というか、むしろ大型犬を見つける方が苦労する。
なんらかの事情でアフガンは引き取られたんじゃないだろうか。
そうでなけりゃ、えらそうなツラをしているアフガンが、貧相なバァさんに連れられているはずがない。
逃げ出して高級住宅街をふらつき、見るからに高そうなブランドを身にまとっている分相応のボンボンに拾われるのを待っているにちがいなかった。
バァさんのひとりごとにつきあうより、三時のおやつにメロンを出すようなお宅がアフガンにはお似合いだ。
バァさんとアフガンなんてふつりあいもいいとこじゃないか。
若造のくせに、アフガンはふてぶてしくいった。
「おじょうちゃんが来るまで店主につかまるなよ」
減らず口をたたくアフガンにオレは羽ばたいて言い返した。
「たかだか人間につかまるかよ。オレが空を飛べるのを忘れるな」
こうしてオレはバァさんの孫娘と会うことを依頼と受け取ったのだった。
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