時々おじゃまします

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涙のお別れから、1時間半くらいした頃 航平くんに着信が… 『太平からだ』 うんうん、あーあるよ なんて、ちょっと長めに話をしていた 『太平さん、どうしたの?』 今日は、運転手兼社長秘書の高橋さんが いないから、太平さんが運転手のはず 『今、サービスエリアなんだって 太一が帽子忘れてる?って』 部屋の隅に、太一くんのキャップがあった 『帽子は、帰省の時に持っていくんだけど… 帰りに太一が泣いたみたいで…』 航平くんによると 車に乗ってから、しばらく太一くんは 黙っていた 楽しかったか?の問いかけにも うなずくのみ 『お父さん…あのね……』 黙っていた太一くんが、口を開いた 『僕…妹が欲しい……』 『それは……わかっているだろ?』 奈々子さんは、もう子供を産むことが できない それは、太一くんも知っている 『お母さんが赤ちゃん産めないのは わかっているよ だから…… 桜子ちゃんを、うちの子にしてほしい 桜子ちゃんを、妹にもらってほしい』
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