真っ白い息を吐いて

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 目の前に真っ白な雪景色が広がっている。  息を吸い込こむと、肺にやってきた冷たい空気で胸が少し苦しくなった。    今って何月だっけ…    昨日で十八連勤続いたバイトが終わり、今日は久々の休みだった。ずっと仕事をしていると日付の感覚がおかしくなるのだ。  部屋の中央に置いてある、机の上にあるカレンダーを見た。  保険会社のアンケートに協力した際にもらったそのカレンダーには、最近テレビでよく見るアイドルが、白いダッフルコートを着て白いニット帽を被って微笑んでいる。 「一二月一二日…」  外を見るために開けていた部屋の窓から冷たい風が入って来たので、慌てて窓を閉める  地元のニュース番組を見ていると、子供が雪遊びしている姿が映されていて、キャスターが今年最初の初雪だと話していた。  雪なんてめったに降らない地域だからか、築三十年のアパートである我が家の近くでも近所の子供のはしゃぐ声が聞こえる。  寒い寒いと言いながら布団に潜り込む。  枕元に置いてあったスマホを取ると、バイト先の店長から電話がかかっていた。  はぁ、とため息をつくと、部屋の中なのに白い息がでた。 「もしもし大西です」 「あっ大西君休みの日にごめんね、実は欠員が出ちゃって」  数回のコールの後で店長が出る。バックではコンビニに入店した時に流れる音楽がなっていた。 「ほんとごめんね、でも大西くん、どうせ暇でしょ」 「いや…あの、今日は約束があるので」 「何言ってるの、昨日はそんなこと言ってなかったでしょ。てか大西君って僕以外に友達いないでしょ」  なるほど、店長は友達に時給八百円で十八連勤もさせるのか。 「とにかくよろしくね。もう少ししたら大西君の時給も上げるからさ」  こちらが返事するのも待たずに、店長が電話を切った。  店長が、最近入った女子大生と付き合いだしたという噂を聞いたのは、ついこの間だ。今ではその女子大生の方が、先に入った俺よりも時給も高い。  枕にスマホをたたきつけると、ぼふっといって白い埃が舞う。  しばらくの間、胡坐をかいてスマホを睨んでいると、通知が来た。さっきの女子大生からだ。  さっき店長から連絡来て、大西さんが代わりに出てくれるって聞きました!私どうしても外せない用事が出来ちゃって…よろしくお願いしますね!  もう一度スマホを枕にたたきつけた。
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