恋なんて呼ぶに値しない恋

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1コマ目 恋なんて呼ぶに値しない。 2コマ目 それは今でも思っている。 3コマ目 この恋は恋と呼ぶにはあまりにも運命と言う言葉から、かけ離れていた恋だった。 4コマ目 彼女のことが好きだと、いや、違うな。彼女のことを友だちの一人だと、認めるのも大変だった。 5コマ目 それはそう。 6コマ目 これは彼女と友だちになる前の出来事と言えば、出来事だ。 7コマ目 彼女のことは何て呼べばいいのだろう。 8コマ目 昔だったら、瀧田さんで問題なかったと思うが、今となっては何て呼ぶべきだろう。 9コマ目 そもそも、当時の僕も瀧田さんなんて呼んでない。 10コマ目 もしも彼女に用事があるとすれば、彼女の名前なんて一言も呼ばず、彼女と直線会って何となく用事を済ませただろう。 11コマ目 彼女のことは、そう。 12コマ目 名前で呼んだことなんてない。 13コマ目 彼女といる時は、せいぜい“そこのお姉さん”と茶化して呼ぶのが限界だった。 14コマ目 彼女のことは友だちでも何でもなく、クラスメート? 15コマ目 いや、ただの学校の顔見知りいや、それよりもっと向こう側にいる同じクラスの見覚えのある誰かってところに違いない。 16コマ目 ところがまさか、この恋が、いや、これは恋ではない。 17コマ目 これは恋ではなく、これを恋だと気がつかなかった男と、人知れず思われていた自称ヤバめの女の、恋と友情もしくはただのおままごとのような悲劇。 18コマ目 いや、そうは言っても切実かもしれない。 19コマ目 なぜなら当時、二人は出会ってもいないというより、出会ったことにも気がついていない二人で、喋ってもいないを通り越して、まともに顔見知りですらないのだから。 20コマ目 けれども、それは突然起きた。
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