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僕の真っ白な髪を君は美しいと言ってくれた。流れ星みたいだって。
この髪をずっと気に病んでいた僕の心は、初めて太陽を知った生物のように、その暖かさを噛み締めた。
「ねえ、聞いてる?」
「え?ああ、うん」
「また何か考えごとをしてたんでしょ? もう!ごまかされたりしないんだから」
「ごめんごめん。君と出会った頃の頃の事を思い出して、ちょっと、ね」
風が心地よい。あれほど恐ろしいと思っていたはずの外。今では自然と出られるようになり、風を愛でられるようにもなった。
「そうなんだ……なら許してあげる」
彼女ーーレラは澄んだ瞳をそらし、街を見下ろす方向に向き直る。横顔にかかる髪が風でなびいていた。そんな何気ない瞬間にも、時間が止まった気がするのは、景色を絵のように切り取ってしまうせいだろうか。
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