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おわりのはじまり
拝啓、父上様。
おれの名はトウガ。風の一番隊長タツキの一人息子。今も伝説の隊長とうたわれるあなたの背中を追い掛けて、同じ道を行きました。十六歳で隊を任されたあなたと違って、おれは二十三歳で未だヒラだけど。
でも、それは良いんです。おれはあなたみたいな天才じゃない。それは子どもの頃からずっと分かってたことなんだ。分かってたし、深く考えもしなかった。
確かに、周りはあなたとおれを比べる。おれがあなたより劣っているからって、溜め息をつかれることもある。でも、おれはおれだから。いつかそんな風に話してくれたのも、あなただったから。
今日は、あなたに謝らなければならないことがあります。おれは今日、この場所を借りて、あなたのことを洗いざらい書き記そうと思うんです。あなたのことを、あなたの真実を。あなたの身に起きたすべてを、書き記すことをどうかお許しください。
父さん。おれにとって、あなたは英雄です。竜騎士レオンに勝るとも劣らないほど、立派な英雄です。そんなあなたの真実が、これ以上闇に埋もれること、おれはどうしても許せません。おれは、あなたのことを、もっといろんな人に知って欲しいんです。これは母の願いでもあります。
そして、いつかの遠い未来に、これを読む人が現れたならば。
ここで語られた父のことを、どうか覚えていてください。
おれの名はトウガ。風の一番隊長タツキの一人息子。今も伝説の隊長とうたわれるあなたを、おれは誇りに思います。
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