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“ うーん”
目には見えないが、タツキは何事か考え込んでいる様子だった。次いで、椅子の周辺の空気が揺らめく。シェリーははっと目を見開いた。多分、タツキが立ち上がったのだ。
“ シェリーちゃんが差し支えなければ、なんだけど”
「はい?」
“ この状況で長老サマが体調不良なのは、そこそこまずいと思うんだよ。だから、こっちからちょっと元気を分けてあげようか”
「元気を分ける、とは?」
差し支えなければ、という言い方が引っかかる。シェリーは思わずアドルフに目をやったが、アドルフも首を傾げるばかり。タツキは多分、二人の周りをくるくる回っている。シェリーには見えないが、アドルフの視線がそう言っていた。
“ 今から、明日まで。オレが代わりにシェリーちゃんの身体を動かしてあげるよ”
「え!?」
“ 大丈夫、意識乗っ取ったりしないから。ただ、移動するときに足の感覚だけもらう。シェリーちゃんとしては、多分、常時馬車とかに乗ってるイメージになると思うよ。オレがずっと内側に入り込んでるのが嫌でなければ、ちょっとは休めるはずなんだけど、どうだろう”
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