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「ひゃ!」
考えていたら、足が勝手に動いた。なるほど、確かに馬車に乗っている感覚だ。シェリーの足は、ひとりでにアドルフの周りを一回りすると、彼の目の前で止まった。
“ 動かすと、だいたいこんな感じ”
「……」
“ どう?”
「変な感覚でした。自分の身体なのに、自分じゃないみたいな……」
“ まあ、実際はシェリーちゃんの話聞いて動かすよ。あと、風呂とかトイレの間もちゃんと離れるから”
「は、はあ」
シェリーは困惑するばかりだったが、アドルフの方は、シェリーの様子を楽しげに眺めていた。曰く、歩き方も普段のシェリーのものをしっかり模倣しているらしく、傍目には本当に違和感がないらしい。タツキが普通に歩くと、流石に歩き方がシェリーと違うので、その辺りをどうするのかと思っていたアドルフも、これには感心したと言う。
“ じゃ、大丈夫そうだから、そういうことで。遅くに悪かったな。今日はもう寝な。オレ、明日の朝になったらまた来るから”
「あ、寝るときも別なんですね」
“ 旦那に知れたら死刑じゃ済まねえもん”
「あはは……」
“ あと、アドルフさんとはもう少し話したいんだ。だから、お休み”
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