ときわたり

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「迷惑を掛けた詫びと言っては何だが」  オズワルドの好奇心たっぷりな目は、今度はリュウに向いていた。 「ああいった月や石の相談は、今後もいつでもこのオズワルドが承ろうではないか。無論、大隊長殿に異存がなければ、の話だが」 「私は一向に構いませんよ。ひとまず疑いも晴れたことですし、マイルズさんの兄上ということなら」 「大隊長……」  マイルズが怯えたような目をリュウに向ける。 「お断り頂いてもいいんですよ……」 「兄上がギルドに仇なす者でないと分かった以上、断る理由もないだろう」 「僕のメンタルに仇なしてます。この馬鹿兄貴が」 「協力者が出来るのはいいことじゃんか」  トビアスが頭の後ろで両手を組んだ。 「マイルズでどうにもならなかったら、違う選択も取れるってことで」 「それに、聞けば現状は世界の危機らしいではないか。今こそ共に手を取り合おうぞ、マイブラザー!」 「ほんとに、なんでこんなのが僕の兄貴なわけー?」  頭を抱えるマイルズに対して、傍から見ていたトウガは何となく親近感を覚えたが、今は何も言わないことにした。
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