ときわたり

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「さて、いったん世界は救われたわけだが、詫びついでにもうひとつ、提案をさせていただこう。良いかね、マイブラザー」 「そこ僕に聞くの? 大隊長じゃない?」 「まあ聞きたまえよ」  オズワルドは足を組むと、うおっほん、と大袈裟に咳払いをして、一同を見回す。 「我輩、星喰いが上空に居続ける以上は、今後も似たような危機が常につきまとうと見ているよ。どうかね、ここはひとつ、守りを固めてみては」 「守り?」 「そうとも、麗しのレディ」  舞台役者のように両手を広げるオズワルド。ちなみに彼の目はイライザに向いていたが、それを見たフィルが少し不機嫌そうに聞き返す。 「守りって、何なんすか」 「ちょっとフィルさん、何怒ってるの?」 「怒ってねえよ! まだ警戒してるだけ!」 「守りねえ。治癒術士の結界みたいなものですかね?」  まあまあ、とフィルをなだめながら尋ねたのはバート。オズワルドは人差し指を立て、ちっちっち、と軽く振ってみせる。 「もっと手軽だよ。石を使うのさ。磁鉄鉱を煉瓦のように敷き詰めてしまえばいい。そういう地帯が一箇所あれば、住民たちが逃げ込める。ギルドとしても対応しやすくなると思うが、いかがかね?」
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